第一章 「僕とビートルズ」

Abbey Road
 僕が洋楽を聴き始めたのは高校一年の春からです。中学生の時にも洋楽を聴いてみようと試みたのですが、なにを聴いていいのかさっぱり判らず、当時流行っていたガンズ&ローゼスやディープパープルを聴いてショックを受けてしまい、それ以来洋楽から遠ざかっていました。

 それでは何故、再び洋楽を聴くに至ったのかをいいますと、理由は実に単純で、英語の授業の教材としてビートルズの歌詞が取り上げられたからです。今まで洋楽といえば、前出のバンドのような革ジャンに落書きをしたようなものを着て、激しい鳴きのギターが炸裂するような曲を想像していたし、ビートルズのようなスマートな佇まいと優しいメロディーと軽やかな歌声の洋楽があるとは思ってもみなかった。それだけ僕は世間知らずであったし、世の中のニーズも邦楽に収束していたわけです。きっと。

 最初は勉強のつもりでビートルズを聴き、歌詞を覚えることだけに一所懸命でしたが、何度も繰り返し聴いているうちに勉強以外でも部屋にビートルズが流れているようになり、いつの間にか心奪われていました。そんな自然と歌詞が覚えられる環境にあっただけに、英語のテストもかつて取ったこともないような点数で、僕にとって二重の喜びとなりました。

 ビートルズで洋楽の火が付いた僕は、今となってはほぼ洋楽しか聴かないような男になってしまいました。本当に様々な英国バンドを聴きますが、もし無人島に持って行けるLPを一枚だけ選ぶとしたら、僕は迷わずビートルズを選びます。洋楽の持つ全ての要素を含んでいますし、バラエティーに富んでいて飽きないと信じて疑わないからです。それに、おじいさんになってもガンズを聴き続ける自身が僕にはありませんから...。

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